【たまたま通信】キモいとこわいについて、など

お財布の話やストーカーの話なども。
小川たまか 2021.02.24
誰でも

こんばんは。風が冷たいですね。

花粉症の季節、私の場合、鼻ムズはほとんどないのですが喉が痛くなります。

さて本日は!

(1)キモいとこわいについて

(2)「お財布を握ってるのは妻だから」説

(3)このYouTube動画がおすすめ

の3本です。

(1)キモいとこわいについて

先日から一部でやや話題になっている、「フェミニストはこわいのか」について。

クラブハウスでもいろんな意見を聞いていて、「そもそも本気でこわいと思ってないよね」と言っている女性がいて、確かにな〜って思ったりしました。本当にこわい相手に「こわい」とか「こわいんですけどwww」ってあまり言えない。

あと、「女性に対してこわいって形容詞を使うのは侮辱や揶揄であったり口をふさぐ意味合いで使われることが多いけど、男性に対してこわいって表現を使うときって、どちらかというと褒める意味合いで使われることが多いんじゃないか」という意見を聞いて、これもなるほどなと思いました。

男の人に「こわい」とか「こわい人だ」って表現が使われるとき、それは「政治手腕が上手い」とか「計算がうまい」とか、あるいは「人から畏怖されている」といった感じで、女性が言われるときほどネガティブな感じがしない。

じゃあ、女性が男性を「こわい」って思ったときにどんな表現を使うんだろう?

それって「キモい」じゃないかなって思ったんですよね。

痴漢とか、性的なハラスメント被害に遭ったとき、女性たちはよく「キモい」という言葉を使う。恐怖とかムカつきとかいろんな感情があるはずなんだけど、「こわい」ではなくて「キモい」という言葉を選ぶ理由のひとつは、こわがることが相手の思うツボになると頭のどこかで認識しているからなのではないか。

女性や子ども(あるいは自分より弱い相手)がビビったり、こわがったりすることを喜んで加害行為をする人っている。性的な加害行為やハラスメントの中にも、そういう気持ちを含んで行われるものがあると思う。

たとえば、露出狂は「キャー!!!」って反応を喜んだりするわけだし。こわいという言葉が男性に向けられる場合は必ずしも侮辱の意味合いを含まない点、そしてこわがることが相手の狙っていることであるかもしれない点、この2点を踏まえて、女性は「キモい」という言葉を選ぶのではないか。

そんなことを思いました。

(※もちろん、人のルックスとかだけを見て「キモい!」と形容することを推奨するものではありません)

(2)「お財布を握っているのは妻だから」説

森発言のことを議論するクラブハウスのルームの中で何度か聞いたのが、「日本は言われてるほど女性蔑視じゃない。だって家庭でお財布を握ってるのは妻だから。日本の男性はお小遣い制でかわいそう」という意見。えー、うちお小遣い制じゃない。友人でもあまり聞いたことない。

しかもいわゆるバリキャリの女性がそう言ってて……。自分たちお小遣い制なんだろうか。彼女たちは「女性は管理職につく意思を持ってる人自体が少ないし」とか「女性だけじゃなくて、性的マイノリティを含むあらゆる人の人権が大事。多様性多様性!」とも言っていて、いちいち(その意志はどのような環境によって作られたのですか?)とか(出たよAll Lives Matter)などと心の中で突っ込んだんだけど、なんなんだろあれ。。。

私はFacebookで「全体公開」と「お友達に公開」の他に、カスタマイズして「フェミっぽい話を理解してくれる人だけに公開」の設定を作っていて、フェミ的モヤモヤを持つとそこに投げ込むので、「お財布を握っているのは妻だから」説についてもそうした。

そうしたら、弁護士さんとか編集者さんとか、先輩の女性たちから熱いコメントをたくさんもらったよ。

一部要約して紹介すると次のようなもの。(原文ママじゃありません)

「たぶんお財布も二極化してて、いわゆるパワーカップルは共通の口座に入金する以外は各自自由って話をよく聞く。一方で男女の収入格差がある家庭では、経済的DVもあるよね……」

「小遣い制で家計管理を妻に任せてる夫が妻を『やりくり下手だ!』とか、妻のへそくりを疑うとか、あるある」

↑家庭でのもめごとに詳しい弁護士さん2名の意見。

「あるイベントで右翼女性が着物姿で『男女平等は日本文化の破壊。財布の紐を握ってるのは女性だから女性の方が強い』という趣旨のことを語ってるのをみたことがある。新自由主義リーンイン系の主張が保守的な主張と親和性を持ち、保守派の問題点を隠すかたちで台頭することを危惧」

↑ジャーナリストさんの意見。

「包括的な実態調査がないことが問題。階層や地域格差も大きいでしょう」

↑学者さんの意見。

↓そしてグッときたのが、尊敬する編集者の方の意見。

「『私は女性として差別を受けたことがない』という女性にときどき出会うけれど、仮にそうだとしてもその言葉がどれだけ男性に利用されるのか、もう少し自覚的になってほしいと思う」

SO!RE!NA! ハイ! SO!RE!NA! それな祭り。

あと、今日になって↓このニュースを貼ってくれた方もいた。

(これは世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数とは別の調査。ちなみにジェンダーギャップ指数は皆さんご存知の通り、153カ国中121位)

190カ国・地域中80位タイ。昨年は74位だったけど、他国が点数上がってるのに日本はそのままなので順位下がったそう。

「年金」は「結婚」など8項目のうち、特に日本が低かったのが「職場」や「支払い」(どちらも100点満点中50点)。

原文↓こちらです。エビデンス使って理論武装してこうぜ!

(3)このYouTube動画がおすすめ

↑これがおすすめ。2月23日(昨日)行われたオンラインイベントです。

日本の性的同意年齢が13歳だとか、性犯罪が不起訴になっちゃう問題とか、あるいは性教育に関心のある人はみんな見てほしい。チラッとでもいいので🙏

刑法の問題、私もイベントに出てしゃべらせてもらうことがあるのですが、どうしても難しい話し方とかになっちゃってなかなか、なかなか。今回のイベントは、トークのプロである荻上チキさんとSHELLYさんが考えるべきポイントを的確にまとめてくれて、その合間に弁護士の寺町東子先生や、刑法改正の検討会メンバー山本潤さんの解説が挟まるので、いい! いいですよ! 司会の佐々木真奈美さんもいい!

最後の方、前向きな希望があって、森失言で疲れてた心が癒されちゃった(何度森失言のこと言うんだって感じですみません)。

あと、その荻上チキさんが行った、別の調査のクラウドファンディングが始まっています。

ストーカー規制法の改正案が今国会で提出される予定、これに合わせて荻上さんたちはストーカー被害の大規模調査を実施。その調査費用をクラファンしてます。

昨日のイベントで、SHELLYさんが日本は犯罪とかについても本当に調査が少ないって話をしてたんだけど、私もそう思う。ストーカー被害のこういう大規模調査、本当なら国がしてほしいよね……。

ご存知の方もいると思うけれど、2020年7月に最高裁で、「GPSをつけて相手の居場所を突き止める行為はストーカー規制法が定めるストーカー行為にあたらない」っていう判決が出て、おっと、そんな判決が出ちゃうってことは法律の穴があるってことですよね〜!ってことで、今回改正案が提出予定。

改正案によって、GPS装着もストーカー規制法に含まれることになるようなのでそれは良かったけれど、内澤旬子さん(文筆家/『ストーカーとの七〇〇日戦争』著者)は、そのほかに

・恋愛のもつれ以外の動機によるストーキング行為を規制すること(現在は恋愛のもつれのみにかぎっている)

・加害者に治療プログラムを義務づけること

を求めています。ストーカー行為は本人がやめようと思ってもやめられない反複行為である場合もあって、たとえ加害者が服役しても、出所してすぐまたストーキングされる可能性だってある。被害者の安心のためには、加害者に「治って」もらわないと仕方がない……。完全に同意します。

●来てね●

最後に、本日、日本時間21時からクラブハウスで↓こんなことやるので、興味ある方いらしたらぜひ〜。よろしくお願いします。

それではそれでは。

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