たまたまレビュー#38 『女性の休日』
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だいたい週末の午後に更新します。
今週の1本
▼『女性の休日』
※試写で見ました。10月25日から全国で順次公開!
あらすじ
2025年現在、女性大統領と女性首相が国を治め、国会議員の女性議員比率は48%、ジェンダーギャップ指数で16年連続1位の国が、アイスランド。とはいえアイスランドが昔からこうだったわけではない。1970年代にいろいろな国で女性の運動が起こった頃はまだ、他の国と変わらないか、それ以上に男女の差はあった。変わるきっかけとなったのは1975年の10月24日、9割の女性が自分の仕事を休んだこと。女性が任されていたのは家事や育児の無償労働や、男性の補助、あるいは男性と同じ仕事でありながら半分の賃金しかもらえない仕事。けれど男性の仕事は、女性がいなければまわらない。そのメッセージを送るための1日だった。なぜ9割もの女性がこのアクションに参加したのか。「女性の休日」成功の理由を、当時、活動に参加した女性たちのインタビューから振り返る。
登場する女性たちの表情がまず……
70代、80代と思われる女性たちがカメラの前で当時を振り返るのだが、彼女たちがみんな素敵。表情が明るく自信にあふれ、ユーモアがあって力強い。女性運動が大きな勝利をつかみ取った国の女性たちって、こんな素敵なの?と思って、アイスランドへ行ってみたくなった。着てるものもカラフルで、みんなセンスがいい。いやもちろん、日本にも素敵な高齢女性はたくさんいるが、なんというか自信と余裕の源が根本的に違うような感じがした。年を取ることに気兼ねや不安を感じなくていいのかもしれない。
まず彼女たちは、行動のきっかけとなったのは他の国の女性たちの運動だったと語る。当時はアメリカなど、さまざまな国でエンパワメントのムーブメントがあり、アイスランドでも、という思いだったと。
「女性の休日」の前には、国内で行われた「美人コンテスト」に抗議するために、牝牛を会場の前に立たせたこともあった。「こんなのまるで牝牛の品評会ですよ」という意味。コンテストは中止になり、そのあと10数年開催されなかったのだそう。
アイスランドは人口40万人ほどの小さな国で、日本でもっとも人口が少ない鳥取県(52万人)よりも少ない。調べてみたら長崎市、豊中市、岐阜市がちょうど40万人ほどのよう。
小さな国だから、「誰かは誰かの知り合い」と女性のひとりが語っていた。チラシを配ったり、電話をかけまくったり、職場の人に話したり。そんな口コミで、「女性の休日」アクションを伝えていった。でも、アクションが成功したのは、小さな国だったからというだけではもちろんない。