【たまたま通信】エモよりデモを
●2020年4月7日の安倍ちゃん
こんにちは。今日は安倍ちゃんについてです。親しみを込めて安倍ちゃんとお呼びします。私が安倍ちゃんについて思い出すことといえばこれです。
「海外では、このDVが増加しているという状況が出てきているということを私も承知をしておりますが、国内において、まだそういう兆候が出ているということを、私は報告は、今、受けておりません」
新型コロナウイルス感染症が大変なことになり始めていた2020年4月7日、安倍首相(当時)は首相官邸で行われた記者会見でこのように発言しました。
↑こちらのリンク先動画の52分頃から。書き起こしもあります。日テレ菅原さんの、海外でDVや児童虐待が増えているが……という質問への回答です。
これは一般の人が聞いたら「そうか日本ではまだ兆候がないんだな」と受け取るんだと思うのですが、支援関係の現場にいる人にとってみたらこんなゆるゆるな回答はないと思います。
DVとか児童虐待っていうのは社会の中でもっとも人目につきづらい場所で行われる暴力であって、それを国のトップが把握するまでには大変な距離がある。火事や交通事故のように件数が把握しやすいものとは違います。
それを考えた上で対策しなければならない問題で、兆候を把握しているかどうかが重要な点ではないし、把握する前に動かなければいけない種類のものです。
しかも、しかもです。
この会見の1週間前、3月30日にはすでに、全国女性シェルターネットから「新型コロナウィルス対策状況下におけるDV・児童虐待防止に関する要望書」が提出され、この中では児相への相談がすでにかなり増えてきていることや、複数の相談センターが面談業務を中止したために支援につながりづらくなっている人がいることが報告されていました。
参考:「新型コロナウィルス対策状況下におけるDV・児童虐待防止に関する要望書」- 全国女性シェルターネットから提出(WAN/2020年3月31日)
まあ、非常事態のもとでこのような女性たちの要望書は後回しにされたということですよね。喫緊の課題ではないと。
女性やマイノリティの訴えって「声が大きい」ように見えるかもしれないけれど、そうではない。いくら声を上げても上のほうの人に届かないからデモしたり署名集めたりするわけで。経団連はデモしたり世論を動かしたりしなくても直接ガンガン言えます。会食の場とかで。
どっちが本当に「声が大きい」かって言ったら経団連とか票田になってる某宗教団体とかに決まっているのに、日本人の少なくない数の人は自分の目につくところでやっているという理由でデモや市民運動のほうを嫌悪してしまう。本当の意味で「声が大きい」団体が何をやってるかは一般市民からわかりづらい。それ誰にとって都合が良いですかね。
少し前に、ある犯罪学の先生が仮説として「日本はコミュニティの外で起こる犯罪は海外に比べて少ないが、内側で起こる犯罪は実は多いのではないか」と言ってました。
つまり、路上とか公共の場で起こる強盗や暴力事件は海外に比べて少ないけれど、組織やコミュニティや家庭の中で行われる暴力や汚職は実は多いのではないかと。それはつまり、見知らぬ人からの加害(被害)は少ないけれど、知っている相手からの加害(被害)は多いのではということ。
同調圧力で表に出ないようにして告発者を排除してしまうだけで、監査や社内通報システムが機能していないと。調査する価値のある仮説だなあと私は思います。性暴力やDVでピンとこない人は、学校内のいじめや会社でのパワハラについて考えてもらえるとわかりやすいかと思います。
●2022年9月27日の菅ちゃん
菅ちゃん。私は安倍さんが辞任したとき、やっと空が晴れたような気持ちになってとてもうれしかった。しかし菅ちゃんに代わっても何も空気が変わらないことにびっくりした。
国葬の日の菅さんの弔辞で、私が一番エッて思ったのは、「天はなぜ、よりにもよって、このような悲劇を現実にし、いのちを失ってはならない人から、生命を、召し上げてしまったのか」の部分。
いやいや、安倍さんて天災とか不慮の事故で亡くなったわけじゃないですからね。安倍さんの命を奪ったのは天ではなくて山上徹也ですよ。それを直視したくないのかな?
山上容疑者は誰でも良かったわけではなくて、安倍さんを明確に狙ったのだから「天はなぜ、よりにもよって」っておかしくないですか。なんか、安倍さんが狙われた理由から目を背けさせたいのかなと思ってしまいました。
あと、東京新聞記事 でも突っ込まれているけれど、事前に準備しておいたはずの弔辞に、「武道館の周りには(略)20代、30代の人たちが、少なくないようです」って変ですよね。
「少なくないようです」っていうのは主観ですし、そりゃいくらかは20代、30代がいるでしょうから間違いとは言えない。でもわざわざそれをここで言う理由って「安倍さんには若い支持者が多い」と印象づけたいとしか考えられない。
「悪夢のような民主党政権」を連呼していれば勝てたという成功体験が強いんだろうな。
このような弔辞がエモエモ言われてることに驚きはしない。中身のない二番煎じであれ軽薄であれエモであれば良しと担ぎ上げる土台はもうずっとあったから。
エモよりデモをって思いつつ、私は私の仕事をしていきたいと思います。
【今週のももあん】
自分のケージにもごはんはあるのに、わざわざアンディのケージに来て先に食べちゃうももちゃん(母)と、壁を見つめながら横で待機するアンディ(息子)。
あと、私がももちとアンディを紹介してもらった「一般社団法人 CAT’S INN TOKYO」代表理事の藍智子さんが、↓寄稿しています。
猫の保護を通じて訪れる家で、いろんな状況を垣間見ると。猫だけじゃなく、人間の福祉に密着した仕事なんだなと思いました。
それではまたー!
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