たまたまな日々・土台が崩れてる

2024年は絶望選挙year
小川たまか 2024.11.18
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  セルフジェルネイルが苦手なので、昨日も3時間しか保ちませんでした。

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 「マスゴミ」という言葉が最初に流行り出してからもう15年以上は経っていると思うが、マスコミの情報を鵜呑みにせずに批判的視点を持つことと、はなからバカにしていいものと見做してマウンティングに使うことがごっちゃになったまま、後者の勢いだけが加速していった結果とも言えると思う。兵庫県知事戦の結果は。マスゴミって言葉自体はもう賞味期限切れが近いのかなと数年前に思ったけれど、概念としては残り続けて、2024年に最悪なかたちで爆発してしまった。

 昨日は大山崎 COFFEE ROASTERSさんで2回目のフェミトークをやって、楽しくお話しして、終わった後に来てくれたみなさんとサンドイッチとかお菓子を食べながらお話ししていたら、ひとりが当確の速報が出たのに気づいてみんなに教えてくれて、思わず「マジか……」ってため息が漏れた。

 ここ最近、神戸在住のアルテイシアさんがずっと、あの元知事が勝っちゃうかもしれない勢いで本当にヤバいって言っていて、こわいな……と思っていた。当日は、杞憂で終わって良かったってなることを祈っていた。

 フェミトークでは、今年の都知事選で候補者が乱立したことや、アメリカの大統領選、衆院選後の玉木フィーバー、今回の兵庫県知事選を見ての私の感想として、「ジェンダーの話をできていたこれまでが幸せだったのかもしれない」みたいなことを言った。

 うまく伝わったかわからないけど、ジェンダーとかあるいは気候変動とかの話って、ファクトチェックが機能して、なおかつ「未来のために今何をすれば良いか考えよう」という、ある意味のポジティブさが場に共有されていないと、そもそも切り出すことさえできないトピックだと思う。今年のどの選挙を見ても、実績のある機関が出しているデータや調査よりも雰囲気やお気持ち(あるいはまとめサイトやSNSに落ちている切り抜き画像の情報、口コミ)を重んじる人、未来の誰かより今の自分のことを考えるので精一杯な人たちの票が勝った(今の自分のことで精一杯なのは、これまでの政治がそうさせてきたのだから仕方ない面もある)。ジェンダーの話題などするそのだいぶ前で土台が崩れている。

 当選した人たちにとって、ジェンダーの優先度など限りなく低い。だって有権者の多くにとって考えるのがめちゃくちゃ面倒だし、どう自分につながっているのかもピンと来ない問題だから。

 このカオスな状況が暴力と排除に一直線につながっているように感じられて、私は最悪だと思っていたこれまではまだ幸せだったのかもしれないと思った。本当にそのぐらい絶望しているし、なんで私はまだ日本にいるんだろうって思っちゃう。

 これはほぼ八つ当たりだけれど、兵庫知事選の結果にショックを受けているマスコミの人がSNSで「何が悪かったのか考え続けています」「答えが出ません」などのメディア反省構文を綴っているのと見て、あなたたちが「中立公正」をいいことに腐敗へのメスをサボり、手っ取り早い両論併記を続けた結果だよと思ってしまう。答えはそこにあるけれど、見たくないだけでしょう。

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