たまたまな日々・6月30日(火)

赤頭巾ちゃん/人身取引/たまラジ/今日のキャッツ
小川たまか 2026.06.30
読者限定

 6月も今日で終わり。

***

 そういえば先日、作家の庄司薫さんが亡くなったというニュースを見た。ベストセラーになった『赤頭巾ちゃん気をつけて』は1969年の作品で、今はもう読んだことのある人の方が少ないのかもしれない。

 私は高校生の頃に読んだが、同年代でも読んでいた人の方が少なかったように思う。そして私ももう、内容をほとんど覚えていない。たぶん当時の自分の心にあんまり引っかからなかったんじゃないかと。そしてその理由は当時、60年代〜70年代の学生運動というものにほとんど興味関心を持っていなかったから、というのが大きい気がしている。

 『赤頭巾ちゃん気をつけて』は都立日比谷高校に通う男子校生・薫くんが主人公。日比谷高校は都立の進学校で東大に行く生徒も多い学校だけれど、1968年には東大紛争で東大入試が中止になった。薫くんも東大を受けようと思っていた一人。身も蓋もない言い方をすれば、学生運動の時代に、急にぽっかりと行くあてをなくした頭の良い10代の男の子の話である。30年ぶりに読み返してみたいとは思っている。当時よりもまだ少しは学生運動とその時代について知識があるから。

 私はこれまで何度か、自分の高校時代について文章を書いている。WEBで読めるものだとこちら。

▼『あなたのフェミはどこから?』第4回 風が吹く野原が心の中にある(平凡社WEB)

 ここでも書いている、永田町にあって校庭の向こうに国会議事堂が見えて、めちゃくちゃリベラルだった母校というのは日比谷高校のことである。

 私は90年代の終わりに日比谷高校に通っていた。庄司薫の時代とは違い、私の頃は東大に現役合格する人はほとんどおらず、生徒たちにもエリート意識はなかった。でも生徒会はなくって、その理由は「学生運動の頃に解散したから」で、教員たちが基本的には生徒の自主性を大変に尊重していた。校歌には「正しく みな 自主を誓って」とあるぐらい。

 まあそう書くとちょっと美化し過ぎかもしれず、良くも悪くも生徒にあまり興味なさそうな先生もまあまあいて、やたら休講が多かった。そういうところも含めて好きだった。2000年代前半ぐらいまでは、「大学時代はモラトリアム」みたいなものと言われたりしたが、私にとっては間違いなく高校時代こそがモラトリアムだった。変人が変人のままでいられて、『動物のお医者さん』で描かれる北大とか、京大吉田寮みたいなノリがちょっとあった。

 自分がその中にいるときはよくわからないけれど、大人になってから振り返ってみれば、あれがどういう時代だったのかがそれなりに見えるようになる。

 だから今もう一度、『赤頭巾ちゃん気をつけて』を読んでみたいと思う。でもねえ、やっぱ主人公が女子バージョンも読んでみたかったとは思うのね。内容をあまりよく覚えていないのは、男主人公だからっていうのもあると思うよ。

 そういえば、小中学校時代は学級名簿が男女別で男子が先、女子が後の順番だったのだが、高校に入ってからは男女混合の名簿だった。そこにすっごく自由を感じたことはよく覚えている。当時はフェミニズムなんてまったく知らなかったけれどそう感じた。今はもう小学校から男女混合名簿なんだろうけれど、昭和〜平成初期の「男子が先」名簿、なんだったんでしょうね。今になってみるとほんとそっからだぞって思う。

※『あなたのフェミはどこから?』は平凡社から本になってます。19人の書き手がフェミニズムとの出会いを書いているよ。ぜひ〜。

ニュース

 このニュースを見た。

▼タイ少女の人身取引、母親に禁錮7年6月判決 バンコクの裁判所(6月30日/毎日新聞)

 昨年大きなニュースとなったタイ人少女の人身取引被害について、少女の母親がバンコクで7年6月の実刑判決となったと。

 これパッと見でひどいな……と思ったのは、日本で逮捕・起訴されて裁判中の日本人経営者は、これほど重い判決になる可能性は低いであろうから。日本人経営者は児童福祉法違反などで起訴されているが、人身売買罪の適用はされていない。

 児童福祉法違反の「児童に淫行をさせる行為」は「10年以下の拘禁刑、もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」だけど、10年なんて判決にはほぼ確実にならない。5年以上になるかどうかも怪しい。また、たとえ人身売買罪が適用されたとしても、例えば「未成年者を買い受ける行為」は3カ月以上7年以下の拘禁刑。

 そして日本で少女を買った客たちは誰ひとり逮捕されていない。そんな中で、少女の母親が7年6月の刑罰を受けるんですって。胸糞。

 日本人経営者に人身売買罪が適用されていない理由はこちら。

▼タイ国籍少女 店経営者らに人身売買罪を適用しない方針 検察(6月11日/NHK ONE)

 詳しい記事なのだが、しかし記事を読んでも結局のところ人身売買罪を適用できない理由は日本の法律がザルだからだろ?としか思えん。本気度が感じられない。記事末尾に出てくるカンボジア国籍の女性の被害の話を読むに、氷山の一角でしょ。取り締まれていない被害がどれだけあることか。

たまラジ

 更新しています。録り始める前は毎回「今日はあんま話すことないかも」って思うんだけど、話し始めると「あ、あの話したい!」ってなるから不思議である。

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