たまたまレビュー#40 『小さな嘘つき』

「この小説は、#MeToo運動の足を引っ張るものではない」
小川たまか 2025.10.05
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たまたまレビューでは、書籍・漫画・映画・ドラマなどのレビューを思ったままに書いています。

だいたい週末の午後に更新します。

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今週の一冊

▼『小さな嘘つき』(パスカル・ロベール゠ディアール、 伊禮 規与美訳)

あらすじ

 ベテラン弁護士アリスの元に、20歳の女性リザが訪ねてくる。彼女は15歳のとき、家の屋根工事をしていた修理工・ランジュからレイプ被害に遭ったと訴え、ランジュには一審で懲役10年の判決が下っていた。リザは控訴審を、一審を担当した男性弁護士ではなく、女性のアリスに頼みたいのだという。不思議に思いつつ引き受けたアリスに、リザは思いもよらない告白をする。作者のパスカル・ロベール=ディアールは、ジャーナリストであり法廷コラムニスト。日本語版・解説は『これからの男の子たちへ』の太田啓子弁護士。       

タイトルにあるとおり、

 これは嘘をついた少女のお話。帯には「わたしは今から、嘘つきの少女を弁護します」とある。

 そして帯の裏には、太田啓子弁護士による解説の一説が載る。

「この小説は、#MeToo運動の足を引っ張るものではない。むしろ、#MeToo運動が拓く世界についての正しい理解を促すものだと思う。(中略)<被害者>というのは、別に純真であったり、ただただ弱いという存在ではない。そして<被害者>が言うことがすべて真実とは限らない。(中略)また、重要なこととして、何か<嘘をついた>からといって、直ちに被害者の<被害者>性が全て否定されると言うものでもない。そういった、<真実><嘘>との向き合い方の複雑さと繊細さを、この小説は描いているのではないだろうか。」

 単純なものの見方かもしれないが、私はフランスは日本に比べて成熟していると感じてしまう。

 日本でこのような小説はまず書かれないと断言できる。

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