たまたまレビュー#18 『マミー』と『もう逃げない。』

26年目の和歌山毒物カレー事件
小川たまか 2024.08.18
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たまたまレビューでは、書籍・漫画・映画・ドラマなどのレビューを思ったままに書いていきたいと思います。大体週末の午後に更新します。

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今週の一本&一冊

▼映画『マミー』(二村真弘監督)

▼『もう逃げない。〜今まで黙っていた「家族」のこと』(林眞須美死刑囚長男/ビジネス社/2019年7月20日)

どんな映画? どんな本?

 『マミー』は、1998年に起きた和歌山毒物カレー事件について、林眞須美死刑囚は冤罪ではないのかを追うドキュメンタリー。夫の林健治氏や長男が登場するのだが、公開前に長男へのバッシングが強まり、公開中止になる可能性もあった。

 長男は @wakayamacurry のアカウントで、現在もXで情報発信を行っている。『もう逃げない』は彼の手記で、5年前に出版された。両親が逮捕された当時や、その後の4姉弟(長女・次女・長男・三女)がどんな境遇にあったかが綴られる。事件当時小学校5年生だった長男は、両親が保険金詐欺をしていたことは薄々知っていたし、これについては認めている。しかしカレーにヒ素を入れたのが自分の母親だという点については、強い疑いを持っている。

冤罪の話は以前からあって

 『和歌山カレー事件獄中からの手紙』(林眞須美/創出版/2014年)では、ご本人が無罪を訴えていている。Amazonレビューを見ると、それなりに冤罪(林氏の無罪)を支持している人が多いことがわかる。創出版の代表は、事件当時から取材をしていた篠田博之氏。

 また、私が冤罪の可能性があると知ったのは2018年出版の『「毒婦」和歌山カレー事件20年目の真実』(田中ひかる/ビジネス社)を読んでから。当時、下北沢B&Bで行われた田中ひかるさんと高橋ユキさんのトークイベントに行ったら満席で盛り上がっていた記憶がある。

 『「毒婦」…』を読んで、田中さんがこれだけ確信を持って冤罪と言うなら、もしかして……と思った。

 それだけに、『マミー』の中に田中ひかるさんが登場しないのが意外(事件を追っている他のジャーナリストは出てくる)。パンフレットにも、田中さんや篠田氏からのコメントはなくて、なぜなんだろう。意味深……に感じるのは考えすぎ?

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