たまたまレビュー#26 『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』
たまたまレビューでは、書籍・漫画・映画・ドラマなどのレビューを思ったままに書いています。
大体週末の午後に更新します。
今週の一本
▼『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』
簡単なあらすじ
ジョージアの小さな村に暮らす女性・エテロは48歳の独身。小さな日用品店を営んで暮らしている。そんな彼女を近所に住む年上の女性たちは「母親を早く亡くし、父と兄の世話をしなければいけなかったから結婚できなかった」と思っている。今はその父と兄もいない。自由に暮らすエテロはある日、ブラックベリーを摘みに出かけた先で美しいツグミを見る。この日から、彼女の人生は少し変わり始める。
ネタバレのない感想
友人のフェミニストが見に行って激推ししていたので、おそらくフェミっぽい映画なのだろうなあと思っていたら、思った以上に超フェミだった。とはいえ、フェミニストではない人(フェミニズムが何か知らない人)が見て「フェミ映画」だとは思わないのかもしれない。単に「女性の自立の物語」みたいな感じで受け止めるのかも。そのぐらいの感じ。でも超フェミ(しつこい)。
見たいと思う映画はなるべく事前リサーチせず、先入観を持たずに見にいくようにしているので、始まったときに会話が英語ではなくて、フランス語でもスペイン語でもなく、看板とかに書いてある文字も読めず、これは一体どこの国の映画なんじゃろう??と思ったらジョージア(グルジア語)だった。
原作はタムタ・メラシュヴィリさんという1979年生まれの「ジョージア人の作家でありフェミニスト活動家」。彼女の本はジョージアでベストセラーなのだそうで、えー、ジョージアいいな〜と行きたくなってしまった。
ジョージアの田舎が舞台で、エテロのお店は派手さはなくむしろ質素。家も必要最低限の家具しかないのだが、それが逆に洗練されていてすべておしゃれに見える。淡い色合いの壁紙は使い込まれた家具と合っているし、日本の都会の家にはない天上の高さと部屋の奥行き。近所のおうちも、庭にあるブランコでくつろいだり、ベランダでお友達とお茶を飲んだり。もうそれだけでこっちからすると人間らしい豊かな生活に見えるんよ。日本の都会に生まれた人間がこういう暮らしを手に入れるためには、ある程度のお金や決断が必要である。なんて思ってしまった。
まあ映画だからおしゃに撮るよねえと思ったけど、ジョージアを検索してみたら街ごと美しい雰囲気……。やっぱりいつか行ってみたい。
※以下、内容に触れる部分があります。