【たまたま通信】最近のお知らせと、見たものなどまとめ

『偶然と想像』も「セリング・タンパ」も面白かったよ!
小川たまか 2022.01.21
誰でも

 こんにちは。今日は告知と最近読んだもの見たものまとめです。

【告知的なもの】

(1)昨年、寄稿した本が出ました

 昨年10月に、私も参加した本が合同出版さんから出ました。

 性暴力・性被害の問題に昔からずっと取り組んできた人、今現在進行形で取り組んでいる人、当事者、支援者、司法・臨床の専門家の方、研究者、記者など、34人がそれぞれの立場から執筆しています。

 近年の#metooやフラワーデモについてはもちろん、慰安婦を巡る問題、沖縄の基地を巡る問題、災害時の性暴力、AV強要問題について書いて下さっている書き手の方もいます。

 わたしは「マスコミが性暴力を報道するということ」というタイトルで書いているほか、「はじめに」も書かせてもらいました。

 こちらの「試し読み」から、目次や「はじめに」、最初の方の寄稿者の方の文章が読めますので気になった方はぜひ。

(2)イベントがあります

 そして今週末、こちらの本の出版記念イベントをオンラインで行います。

▼お申し込みページ▼

2022年1月22日(土)/19時30分スタート、21時00分終了予定

*参加申し込み者に限り、見逃し配信を予定しております。

*先着50名

*参加費:A チケット1000円

 出演は北原みのりさん、石川優実さん、小川です〜。

(3)来月あたりに新著が出ます

 来月頃、新著が出ます。亜紀書房さんから。ただいま絶賛最後の仕上げ中。タイトルなどはまた近日中にお知らせします。 

【最近読んだもの見たものまとめ】

(1)『偶然と想像』と『寝ても覚めても』

 私の周囲の素敵な人が、あの人もこの人も「良かった〜!」と言っているので見たのが『偶然と想像』(濱口竜介監督)。

 好きな映画は2回観に行くことを厭わない派だけど、もうこの映画については「1回目に観たときのあの気持ちをもう味わえないかと思うと2回目観たいけど切ない」みたいな初めての……気持ちになった。

↓↓↓以下、若干のネタバレ↓↓↓

 3話オムニバスです。1話目の男女の会話劇が、もう圧巻で。この2人(古川琴音と中島歩)の会話をずっと見てたいと思った。雑な言い方をすれば、自分に素直で自分勝手にも見えるけれどだからこそ魅力的な若い女性とそれに振り回される男性のやり取りなんだけれど、そんな2人がかわいらしく愛しく思えてくる不思議。過去・現在・未来の話であると示すような渋谷の風景も良し。

 その1話目の余韻があったので、2話目が始まったとき、テーマが「ハニートラップ」であることに恐れおののいた。私は「ハニトラ」って言葉が大嫌いで(その疑いをかけられて大変な思いをしている人を何人も見ているので)、もし濱口監督まで、メディア・マスコミのやりがちな描き方で「ハニトラ」をやっちゃうのなら残念すぎると思った。のだけれども!(以下、割愛)

 すごいなと思ったのが、2話目主演の役者さん(森郁月)がシーンが進むごとにどんどん憑き物が落ちたようにするんと研ぎ澄まされていくところ。こんなの初めて見た。

 3話目は40代ぐらいの女性2人(占部房子・河井青葉)のお話なのだが、一人がもう一人に「夫さんは……」って話しかけて、言われた方が「夫さん?」って笑う場面がある。そうそう、ご主人じゃないんだよ。ご主人でも旦那さんでもないんだけど、でも代わりの言葉がなかなかなくて、暫定的に「夫さん」。その日本の微妙な今が一瞬出てきて良かった。海外で翻訳されるとき、ここはどんなふうに訳されるのだろう?

 ちなみに「ご主人」については、北原みのりさんのNETFIX版「新聞記者」評に深く共感しました(ネタバレあるので注意)。

 あと『偶然と想像』は登場人物が多い映画ではないが「ベクデル・テスト」に合格してる。

※ベクデル・テスト……映画における男性中心性を測るための指標。1)名前のある女性が2人以上出演している 2)彼女たちがお互い会話を交わしていること 3)その会話が男性と関係のない会話であること

 40代女性2人をああいうふうに撮る日本の男性監督って今までいた?って思った。

 『偶然と想像』があまりにも良かったので、同じ濱口監督の『寝ても覚めても』を見ました。これも本当に役者さんがみんな良くて……。特に伊藤沙莉さん。あんなハスキー声の関西女性、絶対いるでしょ。彼女が演じると、役が立体的になるというか。その人の人生が登場しているシーン以外にも確かにあるんだろうなと思える立体感。彼女の出てくる映画を探していろいろ見たくなる。

 ラストあたり、主人公(唐田えりか)の決断に対して彼女の女友達2人(伊藤沙莉と山下リオ)が真逆の反応をするんだけど、さりげなく挟み込まれるその一瞬が新鮮。どちらの反応も理解できるし、たいがいのドラマではああいう細部は削られると思うので(どちらか一方の反応だけに)、女友達との関係が雑にされていないところが良いなと。

 『寝ても覚めても』は、ベクデル・テストにギリ合格してないけれども、伊藤沙莉と山下リオと唐田えりかが楽しそうだったので良いのではないかと思います!(独断) 

 あと、『偶然と想像』に出てる占部房子さんが『寝ても覚めても』にもちょっとだけエキストラで出てますよね。2つの物語が続いているのだといいなあと思った。

 『ドライブ・マイ・カー』も早く見て、見てから河野真太郎さんと西口想さんの映画評読もうと思ってます!

(2)『私は男でフェミニストです』(チェ・スンボム著/金みんじょん訳)

 著者は韓国の高校教師。彼がフェミニストになった背景には、苦労したお母さんを見てきたっていうのがある。成績優秀だったのに弟優先のため進学叶わず、結婚・出産してからは働きに出て夫よりも稼ぎ、その上DVもあり、家事・育児はすべて担っていたお母さん……。

 しかし私はそのエピソードよりもさらにこの著者が信頼できると思ったのは、ネット上でアンチフェミニストからボコボコに叩かれ(中には自分の教え子からさえ叩かれる)、いっときは言葉を発することができなくなりそうになったという経験。まったく同じ経験をしているので、なんていうかもう会ったことないけど友達みたいな気がするよね。

(3)漫画『ブルーピリオド』

1話目はここから▼読めます。

 ネイリストさんにおすすめされた漫画。主人公は高校2年生で、勉強もできるし人間関係もソツなくこなす陽キャ。その彼が絵を描くことに目覚めて、東京藝大を目指す!というお話。

 何かを一生懸命に学ぶっていうのはやっぱかけがえがないなって確認できるのが良いです。あと、次から次へと絵の上手い最強キャラが出てくるのだが、その登場シーンとか立ち姿が少年ジャンプのバトル漫画で倒せど倒せど次の猛者が出てくる展開・シーンに似てて好き。

(4)NETFLIX『セリング・タンパ〜フロリダ西海岸、憧れの高級物件』

 フロリダ州・タンパで、黒人女性のみが働く高級不動産店「アルア不動産」。彼女たちが繰り広げるリアリティショー。

 社長のシャレルも、その他のエージェントたちもみんなゴージャス! 彼女たちのルックスもファッションも取り扱う高級物件も、トーキョーに暮らす薄い体の私の価値観をぐらぐら揺さぶってきて楽しい。

 毎日違う服。それ4時間かかるよね?って感じのヘアセットとメイク。机の上に垂直に立つブランドバッグ。

 彼女たちもルッキズムには縛られているのだろうけれど、目指されている美の方向性が現代の日本と全然違うので、見てるだけでもう楽しい。フロリダの太陽、最高だな!

 同僚の中での嫉妬やマウンティングや確執もあり、「そんなこと言っちゃう?」「ちょっとこの人性格悪くない?」って思う場面もあるのだが、なんかもう基本が異世界すぎるので、それすら楽しい。「リアリティショー」って本来このぐらいの距離感で楽しむのがちょうど良いんじゃないかと思ったり。

 コロナで海外行けないことにしょんぼりしてる人とか、日本のSNSでのあれやこれやとかと全然関係ない何かを見たい!って人におすすめです。私は久々に眉毛を鋭角に整えたくなりました。

 それでは本日はこのぐらいです。また今度〜。 2022年1月21日 小川たまか

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