【たまたま通信】真理子と格差

セレブが社会をどう見ているか知りたければ「夜ふけのなわとび」を読むと良い。
小川たまか
2021.06.13
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おお、能町さん……。

近鉄の就活セクハラの記事を読むために週刊文春の6月10日号と6月17日号を買ったのですが、林真理子大先生の連載「夜ふけのなわとび」を読んで相変わらず嫌な感じだなっていうか、氷河期世代のフェミニスト(私)をピンポイントで煽ってるのかなってくらいの、これは一体なんぞやと思てたんですよね…。

それに引き換え、同じ週刊文春の連載・能町さんの「言葉尻とらえ隊」は、性接待の強要を告発したマリエさんを心配したり、殺人事件の被害者になったセックスワーカーや、誰にも相談できずに乳児を遺棄してしまった母親が何の配慮もなく実名報道されることへの問題提起をしていて、「夜ふけのなわとび」での負傷は能町さんの連載で癒す!みたいな感じであった。

社会問題へのコミットの仕方について昭和・平成(林)と令和(能町)の違いを見る気持ちというかね……。でも比べるのも失礼な気がしてフェミ友と話すぐらいにしてたんだけど、こんなツイートを見たら私も感想を書かずにいられない……!

冒頭からフェミをディスってるのは6月17日号なんですが、いったん置いといて6月10日号もなかなかです。

「世の中の事情」と題して、「(コロナ禍で)お金持ちはどんどんお金持ちになり、貧しい人はどんどん悲惨なことになっている」と書いているので、これは格差問題へ切り込むのだな?と思うじゃないですか。

その後に続くのが富裕層の間ではいま、渡米してワクチンを打った後、ハワイとかで数週間のんびり過ごすのが流行ってるって話。ハワイはまるでバブル景気で、ルイ・ヴィトンは記録的な売り上げ…だと。

そっか…富裕層はいまそんな感じなんだ…で、こっから貧困の問題を書くんですよね?それが本題のはず…と期待するのだが、そこはさすがの林先生で、こちらを鮮やかに裏切っていく。

テレビで「バイトもなくなったし、大学を辞めようと思っています」と語る女子大生を見て、自分の学生時代を思い出して胸がいっぱいになったという林先生は「ウーマン・ツー・ウーマン運動っていうのはどうかな」と友人に提案。それあなたの嫌いなフェミのシスターフッドとどう違うのって突っ込みたくなるのだが、続けて「私たち余裕があるオバさんなら、月々のお洋服代をちょっと我慢したら、学生さん一人の生活費を出せるよ」という。

そして、自分のところにコンテストの審査員を打診しにやって来た東大女子の服装があまりに「ビンボー」で「洗いざらしのよれよれのユ◯ク◯らしきもの」だったことに衝撃を受け、心配する。

しかし夫からは「そのコはすぐに一流企業に入って、高い給料もらうんだ。キミが何ひとつ心配することはない」と言われ、東大女子の友人に確認すると、「彼女はコミックおたくで、バイト代も仕送りも、みんなコミック代に使ってしまうんです」とのこと。

私は大学生の生態をわかっていませんでした、てへぺろ、というオチ。

貧困の話、どこ行った……。格差問題はどこへ消えた……。洗いざらしのよれよれのユニクロが貧困の指標なのか。世が世なら暴動が起こるぞ。

お洋服我慢すれば学生さん一人の生活費ぐらいなら出せるよっていうのはさ、セレブ真理子のお気持ちとしてはそれで満足かもしれないけれど、根本的な構造を変えることにはならないよ……。下々に革命を起こさせないため、ガス抜きのための(無自覚な)バラマキかよ…とすら思うな。

※気になる人は週刊文春6月10日号を購入して全文を読もう!

そして6月17日号。

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