【たまたま通信】投げたものは必ず誰かが

新刊が今日発売です
小川たまか 2022.02.22
誰でも

どうもこんにちは。

本日ぐらいから、新刊の『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)が店頭に並び始めます。

本日はこの新刊の表紙にまつわるお話をさっくり短く紹介したい。

表紙絵は、TYM344さん(@tym344)の作品です。装丁は鈴木千佳子さんです。もう、素晴らしいお二人で、本当にありがたいことだと思っています。

TYM344さんの作品、実は数年前に夫が購入したもので、ずっと家に飾っていました。すごく気に入っていて、新刊の表紙に使わせてもらえないものだろうかと思い、ダメ元で打診してもらったらまさかのOKでした。本当にうれしい。

この絵のタイトルは[記号(悠)]で、実は対になっている作品があります。

それがこちら↓

タイトルは[記号(アイ)]。

こちらは他の方が購入されてます。夫は(アイ)も買えば良かったって後悔しているみたいだけど、この2作品が別々に保管されてて、でもいつかまたセットで展示されるときが来るかもしれない、そんな未来を想像したら、今は離れてても良いような気がしちゃう。

『告発と呼ばれるものの周辺で』は、私がこの5年ぐらいで取材してきた性暴力のこと、その当事者たち支援者の方たちにまつわるお話です。何度も書けなくなったり、もう永遠に書き終わらないんじゃないかと思ったりしながら書きました。

こんなこと書いてもわかってもらえないんじゃないかって後ろ向きになってしまうときの希望は、「今すぐにわかってもらえなくても良い」って割り切ることでした。現代では無理でも、何十年後か何百年後に手にした人が「へぇ〜、そう」って思ってくれるかもしれない。遠くの人に投げる気持ち、それが本の良さじゃないかなって思い込みながら書きました。

TYM344さんの作品の女の子たちは、誰だかわからない。でも、普遍的な女の子の姿として、いつかの自分や知り合いに違いないような気もする。私たちは、一介の砂のような存在でもあるし、唯一の存在でもある。個であり一部である私から、一部であり個であるあなたに、何かを渡すことができたら。

ていうかたぶん、投げたものは必ず誰かが拾うときが来る。そう思いながら、毎日を生きていきたい。

対になる2つの絵の、悠とアイはYouとIなのかな、とか、2人は視線を交わしているのかな?とか、悠が口を開いていて、アイが閉じているのが阿吽っぽいねとか、いろいろ思います。

本の表紙になることで悠ちゃんの表彰はたくさんコピーされる。たくさんの彼女が、私が想像できないところまで飛んでくれることを願っています。

2022年2月22日 小川たまか

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