たまたまな日々・最近のニュースについて

4月3日/裁判官の罷免のことなど
小川たまか 2024.04.04
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目次

(1)京都府立植物園

(2)女性の編集長

(3)BBCの「ジャニーズ」続報

(4)刑務所の再犯防止指導

(5)裁判官の罷免

***

 今日は最近読んだニュースなどについて書きま〜す。

(1)京都府立植物園

 先日訪れた京都府立植物園。

チューリップチューリップ!

チューリップチューリップ!

 お友達から、この場所を再開発する計画があって住民たちから反対の声が上がっていたと聞いた。そして反対の結果、断念されたと。

▼府立大アリーナ計画断念/京都 住民団体「運動実った」(2024年3月19日/赤旗)

 知らんかった。行ったとき、小さい子がたくさん走り回っていたのが印象的で、こんな開放感のある場所で子どもを遊ばせることができるっていいなと思った。たぶんご近所のお母さんたちだったと思う。一人でぼーっとしている人も結構見た。近所なら私も迷わず年パス買ったと思うな。開発計画には賛否あると思いますが、ひとまずそういう場所がなくなっちゃわなくて良かったです。

(2)女性の編集長

 弁護士ドットコムさん、新編集長に交代。

▼弁護士ドットコムニュース新編集長就任のお知らせ(2024年4月1日)

 弁コムさんはこれで編集長が4人目で、初めての女性編集長なのだそう。「私たち弁護士ドットコムニュースが大切にしたいのは、社会課題を法律や制度によって解決につなげ、法律が時代に追いついていないならば、改正を提言していく姿勢です。」とのことで、期待したい!

(3)BBCの「ジャニーズ」続報

 週末に放送されていたBBCの元ジャニーズ事務所への再取材番組、感想を書くのを忘れていました。昨年自死されてしまった元ジャニーズの男性の遺族へのインタビューや、スマイルアップの東山社長へのインタビューで構成されていました。

 たぶんSNSなどでも感想書き込まれていると思うのだが、東山さんのインタビューがね……、やば、ツラ、きつい……。

 告発者に対して誹謗中傷が多く書き込まれている事実に対して、「表現の自由」と言ってしまう。会社が新しくなっても相変わらずどっちを向いているかものを言っているかは明らか。告発者を誹謗中傷してくれる人たちの存在をありがたく思っているとしか受け取れないです。

 そもそも私は誹謗中傷やヘイトスピーチと「表現の自由」を天秤にかけられること自体がおかしいと思っている。誹謗中傷やヘイトスピーチに晒される側はそれによってすでに表現の自由を侵害されているし、表現の自由とは権力に対する市民が持つ権利だと思うので、社会的弱者に向けられるそれらを「表現の自由」と表現するのはおかしい。

 そしてここで、ネットの有象無象でなく、問題を起こした会社の現代表が堂々と言うっていう……。海外メディアの取材にこれを答えてしまう危機意識のなさ。社内で誰もこれを止めない異常さ。ダメでしょ……。

 こういう理屈で成り立ってる会社が日本のエンタメ業界で幅を利かせ、多くの企業と取引を続けているという影響のデカさ。そのまま社会全体でのハラスメントの温存につながると思いますが。どうしたらいいんでしょうね。いや、どうしたらいいんでしょうねと言っている場合じゃないのでできることをするしかない……。

▼YouTube「【単独取材】ジャニーズ解体のその後……SMILE-UP.東山社長、BBCの多数の質問に答える」

 ↑これは東山社長へのインタビュー動画。

(4)刑務所の再犯防止指導

 少し前の記事。

▼性加害防ぐためにできること 刑務所の再犯防止指導、日本版DBSは(2024年2月1日/朝日新聞デジタル)

 刑務所の再犯防止指導の実態。これを読むと、加害者自身が自分を知ること、その工程が再犯防止につながっていく(という視点から再犯防止指導が行われている)ように読める。確かに自分自身を理解しようと努めることは、誰にとっても必要なのだと思う。その過程で性犯罪加害者の場合、自分の認知の歪みに気づくのだろうとも。うーん、わかるんだけど、指導のためにはいったん寄り添いが必要とはいえ、「性加害者は『否認の病気』」段落後半の書きぶりが、割と加害者に同情的でモヤった。

 「愛情を受けずに育ったり、配偶者から性的な要求を拒まれたりしてきた加害者も多いといい」(記事より引用)というのは、そのストーリーを語る加害者が多いのは事実なのだろうが、それが加害の原因だと読者に思わせるような書き方は気をつけた方がいいのではないだろうか。だってそれ、性犯罪やDVの加害者にありがちな言い訳のストーリーなわけで。それを語っている段階ではまだその人は認知の歪みの中にいる。

 指導のために指導者が加害者が語るストーリー(それは認知の歪みの表出である場合もある)にいったん寄り添うことと、社会がそのストーリーを認めることは別であり、前者は必要だが、後者はダメというか、それこそ被害者を我慢させ沈黙させてきた過去の繰り返しになってしまうのではと思う。

(5)裁判官の罷免

 岡口基一・仙台高裁判事を罷免する判決が出たというニュースには、いろいろなことを考えた。岡口判事はSNS(主にツイッター)でフォロワー数が多く有名だった人だが、判決文を引用して言及した殺人事件の被害者遺族や、他の事件(犬の飼い主をめぐる民事訴訟)の当事者からたびたび抗議があり、前者に関しては高裁で不法行為と認定されている。今回の判決で罷免となったため、岡口判事は法曹資格を失い、退職金も支払われないのだという。

 女子高生が殺された事件について判決文を引用して「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男 そんな男に、無惨にも殺されてしまった17歳の女性」と投稿をしたことが報道では一番取り上げられているが、今回の判決ではこの投稿単体について判断されたわけではなく、この後の遺族に対する度重なる投稿(「遺族には申し訳ないが、単に因縁をつけているだけですよ」「遺族が洗脳されている」など)9件のうち7件が「著しい非行」と判断されている(朝日新聞記事より)。

▼有料記事がプレゼントされました!4月5日 11:05まで全文お読みいただけます「ネット巧者だった「白ブリーフ裁判官」 職を賭した法廷で語った過ち」:(2024年4月4日/朝日新聞デジタル)

 ↑こちらの記事に書かれた裁判での岡口判事の説明によれば、「無惨にも……」という投稿は、事件の悲惨さを抽出することで「死刑だろうと思って判決のリンクを開くと、結果は無期懲役。そんなギャップを感じてもらおう」と思ってやったことという。「無惨にも」以外の表現は判決文に書いてある内容。

 この説明を聞くと岡口判事が面白おかしく投稿したわけではなく、むしろ「死刑相当」だと感じてやったことがわかる。わかるのだが、そうであっても遺族からすれば、週刊誌のセンセーショナルな見出しとそれほど変わらない印象を受けたのではないか。そもそも自分の娘が何をされたのか、大っぴらにされたくない気持ちを持つ被害者遺族は多い。そしてそれを投稿したのが現職の裁判官だと知って、「信じられない」「許せない」と思うに至る気持ちは、私は理解できる。

 ただ、このツイートだけであったら罷免までは行かなかっただろう。遺族からの抗議を受けた岡口判事が「遺族が洗脳されている」などの投稿を重ねなければ。最初のツイートに抗議を受けた段階で、遺族の心情に思いを寄せることができれば良かったのにと思う。

▼有料記事がプレゼントされました!4月5日 11:26まで全文お読みいただけます:「【判決要旨】岡口判事の投稿は「著しい非行」 弾劾裁判所の判断理由」(2024年4月4日/朝日新聞デジタル) 

 ↑これを読むと、判決では罷免は「著しい非行」があった場合にのみ限られ、犬の飼い主をめぐる投稿は「非行」であっても「著しい非行」とは判断されていないことがわかる。

 また、殺人事件に関する岡口判事の投稿のうち、「司法府内部や裁判官訴追委員会を批判する意図があったと認められる投稿」については、岡口判事の表現の自由を認めるべきだと判断されている。

 その上で、その他の投稿についてこう判断している。

「しかし、これらの投稿をのぞく投稿だけで評価したとしても、執拗かつ反復して犯罪被害者の遺族の心情を傷つけ、結果として遺族の個人の尊厳や名誉感情などを侵害し、平穏な生活を送ることを妨げたことは否定できない。遺族の抗議を受けても反省や改善がなく、長期にわたって断続的に同様の行為を繰り返したことは、表現の自由として裁判官に許される限度を逸脱したものだ。非行は著しい。」

 岡口判事による組織に対する批判については「表現の自由」を認め、遺族感情を著しく傷つけた部分に関してはそれを避けたこの判断を、私は理解できるし支持したい。「表現の自由」は、社会の中で社会的地位や発信力が弱い者が強い者に向けるときにこそ重く考慮される考え方だと思うからだ。

 岡口判事の「無惨な……」の投稿に悪気はなかったのはわかるが、この殺人事件は殺人事件であると同時に性犯罪(未遂)事件だった。性犯罪事件の被害者に対して世間が押し付けるスティグマに、岡口判事は無自覚だったのではないか。また「単に因縁をつけているだけ」「遺族が洗脳されている」などの投稿は、遺族への配慮より自身の「表現の自由」を配慮してほしいという意識が先行しているように受け取れる。その点をNOとする判断だったのでは。

 余談だが私は、問題になった投稿よりも以前、最初に岡口判事のことを知ったとき、どちらかというと好感を持って受け止めていた。こういう裁判官がいた方がいいなとも思っていた。ただあるとき、私の書いた記事が岡口判事に茶化して引用投稿されたことがあった。

 尊敬している村瀬幸浩さんをインタビューした記事だった。村瀬先生は男児の性教育について詳しい人で、そのインタビューでは、男児は思春期に自分の精液を「汚い」と感じたり、自慰行為に罪悪感を持ったりする場合もあることから、村瀬先生は「セルフプレジャー」と呼ぶ、ということが書いてあった。自分の体やその反応に肯定的になれるようにという思いから。

 しかし岡口判事はこの記事を引用して、「セルフプレジャーだって。センズリでいいと思うけどね」というような内容のことを投稿していた。私はこれは記事を茶化しているなと思った。自慰行為を薄ら笑いに持って行こうとするのは罪悪感の裏返しであり、まさにこうやってふざけようとする大人のために「セルフプレジャー」と言っているのに。岡口判事の投稿には、その投稿に同調し、セルフプレジャーを笑うようなリプライが複数飛んでいたと記憶している。

 あー、この人、こういう部分では昭和のオジさんのままなんだなと、とても残念に思った。親しみを持ってもらおうとツイートしていたというのはそうなんだろうけど、言わなくてもいいこと言って馬脚を表しちゃうところはあったよね、という印象。

 一方、岡口判事が罷免になるなら、懲戒されてもおかしくない弁護士のX投稿って数限りなくありますよね、とも思う。

 罷免裁判は議員が裁判官になる。今回は船田元議員が裁判長で、階猛議員や松山政司議員が裁判官を務めた(ちなみに裁判官12人中、女性は2人)。議員は国民の代弁者なので、議員は世論や現代の社会課題を踏まえて判決を下したことになる。

 対して弁護士に対する懲戒は、弁護士自治に基づいて弁護士会が行う。その自治、大丈夫ですか? 一般感覚とかけ離れてないですか? って思うことがときどきある。弁護士の人も信頼があってこそ成り立つ仕事なのにね。「表現の自由」は錦の御旗じゃないよ。

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