【たま通】報ステの動画で思い出した「スイーツ(笑)」がバカにされまくった時代のこと
報ステのプロモーション動画、鬼の速さで削除されてしまいましたね……。
削除されたってことは炎上上等ってわけじゃなくて想定外だったのだろうから、なんというか。これさすがに釣りとかフェイク動画とか炎上検証実験とかなんじゃないの?って一縷の望みを持っていたのですが。なんであれで良いと思ったんや……。
見てないっていう方は、↓こちらの記事に概要が書いてあります。
私がこの動画を知ったのは昨夜で、知人の女性が「これはバックラッシュではないでしょうか」とシェアしているのを見たから。
何事??と思ってリンク先を見て、混乱しました。だいぶ混乱しましたが、その後ツイッターなどでの反応ももろもろ確認しまして、感想をまとめてみる。
1、女性の描かれ方がキツい……
今の20代の中で、2007年にネット流行語大賞に「スイーツ(笑)」が選ばれたことを知っている人は少ないかもしれない。
でも当時20代だった私は、ちょっといろいろあってこの言葉がいまだにトラウマだよ。雑誌やテレビの情報を鵜呑みにして騒ぐ若い女性を揶揄する言葉だったのだが、しまいには、女性が何かに感動したり、「かわいい」「おいしい」って言ったり、自分磨きに励むことまで「スイーツ(笑)」呼ばわりだった。
私は結構この「スイーツ(笑)」って言葉を内面化してしまっていて、この報ステ動画のように女性がキャッキャと一方的に喋り倒し、「(赤ちゃんが)もうすっごいかわいくて」などと言って頭をふるふる震わせたり「化粧水買っちゃったの〜 も〜すっごいいいやつ」と屈託なく語る様子を見ると、(おいおい、またバカにされるぞ……)とハラハラしてしまう。女性嫌悪を内面化してしまってるんだと思う。
演じているタレントの女性は大変かわいらしく、求められた仕事をやりきっていると思うのだが(これを何テイクやらされたんだろう、顔が筋肉痛になりそうって心配になるが)、この段階で、この演出をどう受け取ればいいのかまずわからなかった。
単純に、仕事から帰ってきた若い「どこにでもいる」女性として描いているのか、社会から求められる「女子力」を内面化して過剰に笑い躁状態で自分の話だけする女性を皮肉っているのか。
その戸惑いの中で浴びせられた爆弾が「どっかの政治家がジェンダー平等とかってスローガン的に掲げてる時点で、何それ時代遅れって感じ」である。
2、「時代遅れ」の件
「どっかの政治家がジェンダー平等とかってスローガン的に掲げてる時点で、何それ時代遅れって感じ」
これについて。
(1)ジェンダー平等をスローガンに掲げている政治家が時代遅れ
(2)ジェンダー平等をスローガンに掲げなきゃいけないこと自体が遅れてる
2つの読み解き方があり、(2)と理解した人が(1)と理解した人のことを「読解力なさすぎ」などとバカにする様子が一部で見られるが、(2)と読み取れて当然と言えるほどのわかりやすさはないと思うぞ。その前段階でだいぶ混乱させてるし。
細かいことを言うと、「どっかの政治家が」っていう最初の言葉が割と検のある表現なので、そこに引きずられやすい。
私も(2)の意図だと思いたいが(そうじゃないとあまりにもヤバいので)、そうであるならば「時代遅れ」と表現するべきではなくて(だってジェンダー平等が達成された時代なんてないのだから)、「ジェンダー平等をスローガンに掲げなきゃいけないって状況がもう、日本は遅れてるよね」とかでは。
まあ、「日本は遅れてる」って言っちゃうとそれはもう剣呑で、プロモーション動画として無理なのだろうから、「ジェンダー平等をスローガンに掲げなきゃいけないほどの状況って、女にとってキツいよね〜」とか?
いやこれも、「女にとってキツい」とかはっきり言ったら反発が来るんだろうね。「今の日本は女性優遇です」派から。
考えれば考えるほど、「女性差別」を突きつけられたら機嫌悪くしちゃう方々に配慮した言葉選びに見えちゃうな。というか、考えれば考えるほどに本気でシンプルに(1)を言いたかったんじゃ……って思えてしまう。「ジェンダー平等なんて今さら言ってんの一部のババアフェミだろ!若い女子もみんなそう思ってますよ〜!」的な。
3、検証して報道してほしい
産休明けの先輩がこのコロナ禍に赤ちゃん連れて会社に来るだろうかとか、それって子連れ出勤が許されてるってわけじゃなくて「顔見せ挨拶」的なやつだよね?だって育休じゃなくて産休明けなわけだし……とか、「こいつ」呼びについてとか、30秒でどんだけ疑問&モヤモヤポイント出してくるのかって感じなんだけれども、やはり一番気になるのは女性の描かれ方であり。
動画でアピールしたかったのが、「こういう流行にも敏感なかわいらしい感じの女性でも報道(報ステ)に関心持ってるよ☆」みたいなことだったとしたら、それこそ時代遅れだよね……。そして残念ながら、そういうふうに受け取れる仕上がりになっている。
広告の制作現場というものを私はよく知らないので想像だけど、最初はなかなか良かった案が、いろんな人のチェックを受けるうちに忖度やら思惑やらが重なって、最終的になんだかよくわからないものが出来上がってしまう……っていうことがあり、これはそういうケースによる事故なんじゃないだろうか(そう思いたい)。
制作担当者が女性なのか男性なのかわからないけれど、女性ならいいだろうっていう話では当然ない。冒頭に引用した記事の中に「「ジェンダー平等をスローガン的にかかげてる時点で 何それ時代遅れ」と言えるほど、テレビ朝日のジェンダー平等が進んでいるとは、ぶっちゃけ私には思えない。」って書いてあって、ですよね〜ってなりました。
どういう企画と会議を経てこの動画が完成したのかっていうところを、テレ朝は忖度なしできっちり「報道」してほしい。です。
本日は以上です。
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